石川啄木『ローマ字日記』(岩波文庫


■「子を貸し屋」の舞台であった、浅草十二階下の私娼窟が出てくる「近代文学の名作」といったら、コレでございますね。


■借金しまくり、家賃滞納しまくり、女買いまくり。寝ている私娼の性器にまずは指を五本入れ、それでも起きない私娼に「ああ、何千人もの男を相手にしていて、筋肉がゆるみ切っているのだ」と、今度は拳骨一つ、性器に入れる。そこでようやく気持ち良さそうな声を出しながら目を覚ます私娼に対し、哀れを感じる…。いや、そいつはやり過ぎだろ。


■同じ下宿で寝泊りしていた金田一京助の初キッスがいつで、相手は誰であったと細かに書いたりとか、隣室の京大生と下宿の娘がヤッている声に聞き耳を立てたりとか、啄木大暴れ。でも昔は、これが青春文学の金字塔って感じで評価されていたわけだよな。「近代文学」って、ホント不思議な制度だったのだなあ、と改めて感慨に耽る。


啄木・ローマ字日記 (岩波文庫 緑 54-4)

啄木・ローマ字日記 (岩波文庫 緑 54-4)