読了本
・長谷部恭男『憲法と平和を問い直す』(ちくま新書)
・斉藤環『「負けた」教の信者たち』(中公新書ラクレ)
・「サルでもわかるリベラリズム」という感じの本が欲しいのだが、リベラリズムの大家・井上達夫の書籍は素人には値段と敷居が高過ぎるし、宮台真司的な「リベラリズム」は、まあもう良いかなあ、とやや食傷気味だったこともあって、長谷部の本を買いました。文章は硬いが、「憲法に国民の義務を書くべき」とか「公の精神を現行憲法では養えない」とかいうアホ議論に対して、たいへん解毒作用がありましょう。
・しかし自民党の新憲法起草委員会の諮問会議。三浦朱門や岡崎久彦というアメリカ大好き売国奴のような輩を入れるのはマジでヤメレ。有識者という枠に憲法学者を入れないこの国のかたちって(泣)。しかし三浦朱門の肩書きは「作家」だが、小説書いているのか?
・長谷部の本と、斉藤環の本に入っている「青少年保護育成条例強化に断固反対する」とを併せて読むと、「リベラリズム」の理論編と具体編って感じだと言えよう。
(条例改正は・引用者注)「常識」や家族が本来担うべき機能を代行することで、いっそう共同体の機能低下と衰弱を招いてしまうのではないか。私も個人として、子どもが成人雑誌を読んでいたら、問答無用で取り上げる。親がその権利を行使してもかまわない。しかし条例が親の代わりを一律に引き受けようというお節介には、断固として抵抗したい。(斎藤環・P171)
・なるほど、ここにあるのはまっとうなほどに「リベラル」な姿勢だ。しかしここには、「リベラル」な発想を行う人が「共同体」の機能低下を嘆くという、一見矛盾めいた事態も現象している。いや、そもそも「リベラル」な発想と「共同体主義」は全く相容れない、ということは決してないと思うのだが、でもでも、そもそも「リベラリズム」と「共同体主義」はどういう関係にあるの? 稲葉振一郎氏のちくま新書が待ち遠しい。
- 作者: 長谷部恭男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/04/07
- メディア: 新書
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「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論 (中公新書ラクレ)
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/04/10
- メディア: 新書
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