菊地成孔の新譜。

■タイトルはギル・スコット・へロンの名曲のもじりで、ジャケット・デザインはオーネット・コールマンの『THIS IS OUR MUSIC』まんま。「スーザン・ソンタグ」とか「INVOCATION」(←コレは「INVITATION」のもじり、って考えて良いんですよね?)といったタイトルの曲が並び、いつものことですが当然のごとく『ミュージックマガジン』の松尾史朗大先生はものすごく酷評(笑)。そんな菊地成孔の新譜は、成タンのジャズ作品としては珍しく成タンのヴォーカルとセルフ・ライナーノーツがありませぬ。それだけでワタシとしては高い評価を与えてしまうんだがなあ(笑)。


■メンバーも大きく入れ替えてサックスで直球勝負、というこの新作で展開されるのは、ジョー・ヘンダーソンあたりを思い出さずにはいられない新主流派(この見立ては松尾先生は正しい)的世界だったのでした。


■ミュージシャンに対してこういう言い方をするのは不遜もいいところなんだけど、プレイヤー全員のリズム感の良さがよく伝わる。細かい音符であっても音の粒が一つ一つ際立っていて、そこに耳を奪われるんだよね。中でも特筆すべきは本田珠也のドラム。ケイ赤城トリオでもそうなのだけど、どんなに早いフレーズを叩いても音が絶対に潰れないのにはいつもながら感心する。音の粒の際立ち、というのが狙いの一つであるがゆえに、成タンのSAXの大きな特徴である「ぶへっー」というフリーキーなトーンが本作では避けられている、というのがあるのではないかなと思いました。


■ダブやスクラッチ音のノイズなどの音処理も適度に抑えられているから、結構フツーにジャズ喫茶とかカフェとかにも対応しそう。


The revolution will not be computerized

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