懐かしの90年代(2)

フリッパーズ・ギターのオールナイトフジ出演。フリッパーズという選択は企画の趣旨としては安易なんだけどね。でも、B21スペシャルの前振りの寒さ加減とか、MCやっている女の子や後ろに控えている女の子の方々の雰囲気とか、フリッパーズと一緒に出ているバンドやろうぜ系と言えば良いのかホコ天系と言えば良いのかまさにあの頃の「バンド」の面々とかこそに、むしろ目を惹かれてしまう。これぞまさにこの時代って感じがするんだよね。それらとフリッパーズが一つの画面に収まっているカオスっぷり。


・いまだに覚えているんだが、フリッパーズが解散した時、読売新聞の夕刊の芸能欄に、「ツアーの前売りも終わってまさにこれからツアーが始まるという時期の解散は、大人としてあまりに無責任ではないか」(←正確なところはうろ覚えなんだが、主旨としてはこんな感じ)みたいなコラムが掲載された。


・「ロック」って、そういう大人のしがらみとは異なるロジックで動くものなのではないのか?ってところではある。でも、こういう記事が堂々と新聞に載ってしまうあたりに、バンド・バブルとバンド・バブルのカウンターとしての音楽が同時に隆盛したこの時代において、社会が「ロック」全体をうまく位置づけられなかった混迷振りが窺える。


・それに比べて、今は市場というかリスナーというか、そのあたりがきちっと洗練されたと思うよ。だから、「この頃は今と違ってよかった」とはあまり思いたくないんだよな。この映像の雰囲気は、やっぱりもう二度とイラナイよ(笑)。この混沌ぶりは今だからこそ対象化できるのであって、当時は、薄ら寒さを覚えながら、ただただ画面を見続けるしかなかったと思うんだよね。そういうことをこの映像を見て考えさせられました。


・ちなみに、「Cool Spy On Hot Car」って、ブルー・トニックにソックリの曲がある。ブルー・トニックって、ホント、早過ぎたんだよなあ。