菊地成孔『聞き飽きない人々』

・ジャズ編の八十年〜九十年代がかなーりツボ。「ジャズライフが平行四辺形」はおろか(←って、まるっきりウソだそうですが)、「ジャズライフが正方形」だった頃も知らないんだけど、スタンリー・ジョーダンとかコートニー・パインとかロリー・ジョーダンとかラルフ・ピーターソンとかの名前に、「うわー、いたよなあ」って感じ。キャンディ・ダルファーですら、もう一時代前の感じだもんね。キャンディ・ダルファー、やっぱりサックス奏者だった親父の名前は何だったっけ?

・一つだけミスを指摘。234ページで、『バード&ディズ』のドラム奏者がジーン・クルーパだとされてますが、違います。バディ・リッチです。ジーン・クルーパとドラム合戦のアルバムがあるから、ごっちゃになったと思われますな。バードとディジージーン・クルーパだったら場違いに過ぎるだろうなあ(笑)。とは言え、確かにバディ・リッチも、ビッグ・バンドの人だから、純バッパーのあの二人とは決して噛み合ってはいないんだけどね。そう考えると、パーカーのストリングスとか、エラ&ルイとか、ハリー・スィーツ・エディスンとの競演盤とか、五十年代のバディ・リッチって中間派まで手を伸ばしていて微妙な仕事が多いね。


聴き飽きない人々

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