『AA』を観てきたよ。

『AA』を観てきたよ。
・一時開始で、途中に休憩をちょろちょろ挟みながら、終了は九時半。会場のアテネフランセのホールの寒いことったらなかった。コート着込みながら観ていましたよ。客は確か七人でした。

青山真治による間章のドキュメンタリーフィルム。以前から話題になっていたけど、ようやくのことで公開されました。上映会場がなかったんだろうな。でも、せめてデレク・ベイリーが亡くなる前には公開されるべきだったかも。撮影が四年前だから大友良英灰野敬二も微妙に若い印象がありました。

間章のドキュメンタリー作品という言い方は、あまり適切ではない。実際、間章の姿は、ポートレート一枚すら画面に現れることはないのだ。むしろ、間章を話題のきっかけにして、ミュージシャン、批評家、研究者といった人たち(必ずしも間章と接点があった人だけではない)が自己の表現を捉え返していくプロセスを写し撮った作品、と言った方が良い。インタビューイーの語り口が皆とても魅力的で、長丁場ながら画面に惹きつけられる(ただ、竹田賢一の柔らか過ぎる語り口には思いっ切り眠りを誘われた)。

・相手の反応を窺いながら自己を表出させていくという点において、インプロヴァイゼーションとインタビューは、営為として重なり合っているといえる。だからなのか、大友良英にしろ灰野敬二にしろ近藤等則にしろ、語りがとってもグルーヴィーなんだよね。灰野敬二の喋りをここまで長く聴いたのは初めてだったけど、結構ナマな姿が表されていた感じがした。ライブの後の打ち上げでの灰野敬二ってこんな感じなのかもな、って言うか。そうか、若松孝二の『エンドレス・ワルツ』の灰野敬二は、あれ、相当な演技だったのな(笑)。

・長らく語ろうとしなかった高柳昌行との関係を、大友良英がかなり赤裸々に語っていたところ。あと、灰野敬二のインタビューとライブが、ああ懐かしい。法大の学館ホールだったところ。このへんは一部の人にはたまらないはず。