カヒミ・カリィ『Nunki』

コーネリアスの新譜なんだが。ちょっとキツイんだよな。

・いや皆様が諸手を上げて絶賛なさるのは分かりまするのでございます。音響的な快感はちょっと他に類を見ないという点については、賛成するのにやぶさかでない。ポップ・ミュージックの新たな地平を切り開く一枚であることに間違いありますまい。

・ただ何と言うか、これはもうワビサビ的な領域であるわけで、聴いている方としても、どう評価するかで趣味判断が計られてしまうような妙なプレッシャーがあるのですよ。音楽聴いてリラックスしたいのに、余計な緊張感を強いられると言うか。まあただの被害妄想と言えば被害妄想に過ぎないんだけどさ。

・そんな僕としては、クラウザーさんも大好きな(笑)カヒミの新譜の方がへヴィー・ローテーションなわけで。相変わらずの勘違いと紙一重な「おフランス」語の世界で、「こんな田舎の景色がパリに見えてくるよ」(笑)と言いたくもなる瞬間がなきにしもあらずなのだが、オサレなポップ感は皆無。その聴き手を突き放す姿勢が、高尚さとではなく、イノセンスさと結びついている感じがなんとも好ましいのでありまする。最後の曲で子供とカヒミが囁き合うところなど、マジで落涙の一歩手前でしたよ。