『紀子の食卓』を観てきたよ。

・宮台真司の映画評は『リリィ・シュシュのすべて』を観て以来話半分ってところにしている僕としては（まああの映画も、琴線に触れる部分はそれなりにあったんだけどさ）、宮台真司がいかにも好みそうな主題であるし、前半部分の照明の感じとかまんま『リリィ・シュシュ』っぽくもあったりして、宮台真司激賞もさもありなん、って冷めた態度で観てた部分もあったにはあったんだけどさ。

・でも基本的には二時間半の長丁場を、気を抜くことなく楽しんできました。これはやっぱり凄いことなんだろう。

・吹石一恵、侮ってました。すげえ良い女優なのね。演技の達者な伊東美咲って感じ。つぐみも最高。『月光の囁き』から気になる存在ではあったが、現在、日本一の女優という称号が与えられても差し支えないはず（←マジで）。昔から一貫して脱ぎっぷりが良いのもエライ（←バカ）。

・レンタル家族、というのが中心テーマに据えられている作品だから、映画内のセリフが虚構内の「現実」について言及しているのか虚構内の「虚構」について言及しているのか、観ていて分からなくなるところが多々あり、ここが何ともスリリング。

・この感触って何だろう、と思ったら、ああ、カサヴェテスの『オープニング・ナイト』だと途中で気がついた。あの映画の中のジーナ・ローランズも、「現実」について言及しているのか「虚構」（舞台＆幽霊）について言及しているのか観ていて分からなくなるところがあったもんね。細かい話を飛ばして言うと、「私は私である」というのを最後にヒロインが受け入れるという点でも、『オープニング・ナイト』が思い出されました（それに対して作品自体が肯定的な評価を与えているか、否定的な評価を与えているかは違うけど）。