懐かしの90年代(番外編)

■八十年代だって?そんなの関係ねー!(ってよく分からないのに使ってみたよ)。


■おお。ヨシノトランスHP経由で知りましたが、この映像がアップされましたかー。じゃがたらの八十三年、法政大学学生会館ホールの「タンゴ」。このライブの終了後、江戸アケミはそのまま統合失調症で松原病院に入院。このライブの前からアケミは相当ヤバくなっていたそうで、精神的に崩壊したリーダーのもと、バンドの状況は最悪であったという。詳しくは『君と踊り明かそう日の出を見る前に』のCDのライナーに、湯浅学氏(だったよね?CDが見当たらない)が詳しく書いていますが。


■だからこそ、というのわけになるのだろうな、これは。演奏とヴォーカルのテンションの漲り方が尋常ではないよ。イントロの禍々しさが徐々に熱を帯びていくあたりは、本当に何度聴いてもゾクゾクする。ホンモノの狂気が破壊の方向に進むのではなく、ものすごく高い音楽性の構築へと突き進んでいくという、ロック史上唯一無比のパフォーマンス。


■同じく精神的失調を抱えたフロントマンのパフォーマンスとしては、ルースターズ大江慎也の83〜84年あたりのライブ音源っていうのがある。だけど、あれはただ痛々しいだけで、聴くとちょっと辛くなってくるんだよね(福田和也は大好きらしいけど)。それに比べ、これは何度でも聴けるし、いや。一時期マジでへヴィーローテだったよなあ。前にじゃがたらのメジャー盤をリアルタイムで聴いて「なんじゃこりゃ!」ってひっくり返ったという話をしたけど、これを聴いてりゃ違っていたんだろうな。いや、後追いじゃなくて、高校の頃にコレを聴きたかった。その時に聴いていれば、じゃがたらを見る目も違った、と言うより、人生が今とは幾許か違った展開をしていたと思う。って言うのは感傷に過ぎるかな。


■映像はここまでだけど、CDではライブが完全収録されていて、最後の方ではアケミがほとんど歌えていないんだよね。一人の人間が、あっち側にを突き抜けていくプロセスがそのまま音源に記録されているという。しかも、CDの後半が一時退院を許されたときのライブ音源、という展開なんだよな。でもやはりそちらも途中で声が出なくなる、という(笑)。