Faith No More 「Epic」

  • このバンドのヴォーカルが、「やっぱラムちゃんサイコーだよ」と「ロッキン・オン」のインタビューで語っていたのをいまだに鮮明に覚えている。村上隆がハイ・アートの仮面被って、ヒロポンちゃん人形をアメリカ人の変態に売りつけるのに先んじること十数年、といったところか。空港でチャイルド・ポルノの所持で逮捕される、なんてトピックもあったと記憶する。早い。早過ぎる。
  • いや、それだけではない。「へヴィ」なロックの先駆けとしても早過ぎたバンドであったのだ、と言いたいところだけど、久しぶりに聴くとちっとも「へヴィ」じゃなかったのね。低音が弱い。曲のアタマからベースにはうねりが足りていないし、ヴォーカルとベースの絡みも、今の感覚からするとスリリングさに欠ける。キーボートの音のチープさも、ローファイ感たっぷりでクール、という方法論にまで昇華されていなくて、単に曲調とそぐわないだけ・・・、何よりサビのヴォーカルがカワイイ、というのが致命的だ。ここも本来なら、禍々しさ、おどろおどろしさを醸し出さなくてはいけないところのはず。
  • と言いたい放題だが、「ミクスチャー・ロック」(懐かしい呼称だ)としてトップクラスにヒットした曲じゃなかろうか。いや、当時はメチャクチャカッコ良く聴こえたですよ。ロックにおいてハードネスをを突き詰めていく方向性が、この時点と今日であまり差異がないものだから、必然的に「古臭さ」ばかりが浮き彫りになってしまうのだろう。今でもカッコ良い、とか、今だからこそカッコ良い、という再評価を勝ち得るためには、ロックの今日的なパラダイムが一度断ち切られた後でないと難しいんだろうな。まあ、「フェイス・ノー・モア、絶対再評価されるべき!」、って思っているわけではないから、どうでもいいんだけどさ。この時期のメタリカはそういう風には聴こえないんだけどね。というわけで次回はメタリカ


http://www.youtube.com/watch?v=boqTP047T78&search=FAITH%20NO%20MORE