Milli Vanilli 「Blame It On The Rain」

・伝説の、と言うより、忘却の彼方へ一万光年。口パクが発覚してグラミー賞剥奪されちゃった悪名高き男性デュオ、Milli Vanilli。メンバーの一人って、最後には自殺しちゃったんじゃなかったっけ。よく覚えていないけど。マネージャーとの確執が原因となって、マネージャー本人が口パクの事実をリークしたとか、そんな話だったよね。いやはや。高部知子ニャンニャン写真とか、沖雅也の「涅槃で待つ」とか、ダン池田の芸能界暴露本とか、とりあえず色々並べてみたけど、そんな懐かしいあの頃のニッポンの、ドス黒いザッツ・エンターティメントな芸能界をふいに思い出させるエピソードではある。


・自分には先見の明があるのだ、などと言いたいわけじゃないけど、最初にこのデュオのPV観た時、すぐさまオイラ、「こいつらニセモノだ」と思った。なぜだかは分からない。どこらへんがニセモノなのかまったく説明できないにせよ、ともかくニセモノだと確信したのだ。ルックスはセクシーだし、歌だってとても上手い(って別人が歌っているんだが)。グラウンド・ビートの普及版といった趣のサウンドだって、けっこうクールだ。でも、こいつらだけは絶対に違う。間違っている。そう思わずにいられなかった。どんなミュージシャンだって、日本のミュージシャンに比べれば圧倒的にカッコ良いに決まっている(ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックでも、だ)。洋楽に対してずっと抱いていたそんな無邪気な僕の確信を、はじめて崩したのが、どういうわけか彼らだった。


・そこまで毛嫌いしていたはずなのに、これまた不思議なことに、この曲だけはとても良いと思った。これだけはホンモノだ。そう感じたのだ。


・十何年振りといったところだろうか。本当に久しぶりに「Blame It On The Rain」を聴いてみた。十分に聴ける。良い曲だとやはり思う。「ホンモノだ」。そう口にすることも、まったく吝かではない。でも、なんでMilli Vanilliの他の曲は全く許せなくて、この曲だけはホンモノだと思えるのか、その理由はやっぱり今でもよく分からないままだ。


http://www.youtube.com/watch?v=NwrL9MV6jSk&search=Blame%20it%20on%20the%20rain