読了本

福田和也イデオロギーズ』(新潮社)
福田和也『スーパーダイアローグ』(リトルモア


・『イデオロギーズ』は、とにかく悪文。書き手の生理としてスタイルにまできちんと昇華している、という話なら良いものの、濫作の結果、文体が乱れたという気配が濃厚な感じがする。文体的強度をこの人に求めるのはそもそもの間違いなのか。『週刊新潮』の連載レヴューとか、なかなか質が高いとは思うのだが、時評的センスに才能を開花してしまったたことが裏目に出たのかもしれない。


・「テクノロジー」、「暴力」、「信仰」など、<現代>を読み解くためのキーワードの意味するところの幅を示そうという、狙いは伝わる。「テクノロジー」と「暴力」がまあまあ読ませたかな。


・『スーパーダイアローグ』は、先に述べた時評的センスの高さがいかんなく発揮されている感じ。こっちがこの人の本領なのかな。まあ、結構好きなんだけど。