最近見た映画

・『left alone』(井土紀州監督)を観たよ。


スガ秀実、カッコ良いよ。カッコ良過ぎ。早大のサークル・スペース撤去反対の集会で、モーニング娘。の「恋愛レボリューション21」で踊っているスガの姿に、俺は涙したね。いやマジな話。スガ、カルスタ大嫌いなくせに。いつも悪口言ってたくせに。それなのに、「カルチュラル・スタディーズ」かくあるべし、という生き方をしっかり実践しているじゃないか。マイノリティを代行できるか否か、なんてことをしかめっ面してあーだこーだ言っている奴らは、全員スガの爪の垢を煎じて飲むべきだよ。モーニング娘。で踊れるかどうか。そいつの「カルチュラル・スタディーズ」の質を計る試金石は、そこにしかないよ。


・あと西部邁。ブントやってた西部が大衆批判に転じたモチベーションというのが、『ノルウェイの森』の「僕」の「政治」へのいらだちと同じものだったってことが、この映画で分かった。つまり、西部の「転向」というのは、ただのセンチメンタリズムでしかなかったわけだ。


・だから、西部がこの映画の中で言っていたことっていうのは、とってもヌルイものなのかもしれない。でもね、西部の語り口。ありゃあさ、すっげー魅力的だよ。佐伯啓思とか松原隆一郎とか、優れた学者をたくさん門下から輩出しただけのことはある。


・教師ってのはさ、存在感がなきゃダメだってのが俺の持論だけど、その意味で、ああいう語り口で話ができる西部ってのは、一流の教師だね。うん。間違いないや。一緒に酒飲みたくなったもん。酒飲みながら、色んな話聞きたくなったもん。そういう西部の存在感を十分に味わえたから、この映画はモトが取れたと思うよ。満足できた。第二部もあるらしいね。左翼の歴史を撮りたい、ってのが監督のモチーフなんだろうけど、西部並のコクのある人がちゃんと撮れているかどうかっていうので、二部の出来は左右されると見たね。