『さまよう薔薇のように』

・さっき起きた。明後日からようやく仕事が始まるんですが・・・。対応できるんでしょうか?誰かこの怠惰な泥沼の中から僕を救い上げて下さい・・・・゜・(ノД`)・゜・


・昨日の日記に書いた矢作俊彦の「さまよう薔薇のように」ですが、まずは福田和也による紹介から。「横浜の盛り場で駐禁回避のため車の移動を請け負っている男を主人公とした連作で、世間に対する距離感、街の風合いの表現はもちろんとして、女性たちが魅力的です。江口寿史氏のカバー・イラストも素晴らしいもので、古本屋で見かけたらぜひ購入して下さい」。


・おっしゃあ。探しましょう買いましょう。まずは最近ご用達の「日本の古本屋」http://www.kosho.or.jp/で検索・・・。結構なお値段なんで「スーパー源氏http://www.murasakishikibu.co.jp/oldbook/sgenji.htmlでも探したんだけど、んー・・・どこでも三千円から五千円だあ・・・高いぞお。*1。でもまあ江口寿史のブックデザインだからインテリア的な価値もあるよな、って自分を強引に納得させ、石川県の古本屋で注文して届いたその日に明け方まで掛けて一気読み。読了時刻は確か昨日の午前六時前*2。こういうことやってるから生活が戻らないんだよなあ・・・・。感想はあとでアップ。


・で、暇にまかせて感想をば・・・。いや、暇でもないいんだけどね・・・。お仕事の関係で夏目漱石の「こころ」再読しなきゃいけないし。


・さて、「さまよう薔薇のように」は久し振りに読んだハードボイルド小説だったんですが・・・。すいません侮ってました。この小説を読むのって結構集中力必要だったわ。


・ハードボイルド小説って、って一般化させてよいものなのかどうかよくわかりませんが、集中力が必要とされると今僕は言ったんだけど、それってどういうことかっていうと、探偵役の主人公が腹の中にどんな企みを抱えた上でそういう言動に出ているのか、はっきりとさせない形で文体が作り上げられているから、そこを上手く読み取っていかなきゃいけなかったていうことなのね。


・もちろん他のジャンルの推理小説でも、もう謎が解明してんのに犯人を陥れるために解明していないフリをする探偵とか、有力な情報を得るために一芝居打つ探偵とか、いると言えばいるんだろうけど・・・何て言うのかなあ、他のジャンルの推理小説だと「ああ探偵は今何か企みがあって上手く装っているところだな」っていうのが、もっと分りやすいように描かれていると思うんだよね。


・ここからとりあえずこういうことが言えないか。普通の推理小説読むときっていうのは僕たちはその謎解きを探偵と一緒に楽しむことになるんだろうけど、こういうハードボイルド小説っていうのは、探偵のその時その時の言動の裏に隠された「意図」*3がどんなものであるのかっていうのを、解釈しながら読み進めていくのに醍醐味があるんではないか・・・、とそんなことを考えさせられた次第なわけです。


・何かまとまってないなあ。なのに強気にさらに展開。今述べたようなことが正しいのであれば、ハードボイルドっていうジャンルの特徴(例えば舞台がたいてい大都市に設定されていることなど)と、主人公の造形の仕方(探偵はいつもクールなキャラクターになっている)と、さっき書いたような文体的な特徴が総合的に論じられるんではないか・・・ということをふと思いついたわけです。誰かそんなことを論じていやしませんかね?


で、そこを切り口として村上春樹の小説とハードボイルドの関係を、感想文的なものとし・てではなく、もう少し腰を据えた形で論じられるのでは・・・。と、ここまでいくと大風呂敷広げすぎかもだけど。


・しかしですな。俺ってひょっとして大学院を離れてから「文学」を厳密に論じるのが苦手になってはいやしないか?という気がふとしてきた。鬱だ逝きますごきげんよう・・・。

*1:でも入手困難と言われるもっと高い本を本日注文した。これはかなり自慢の逸品になるはず。いずれ紹介します。

*2:取り掛かったのは夜中の二時位から。それまで小林信彦の「オヨヨ島の冒険」を読んでた。最近福田和也に影響され過ぎ。

*3:こういう「意図」抜きの無垢な状態で探偵はラストで女性と向き合うことになる・・・っていうのをハードボイルドのジャンルの特性として言うことができないだろうか?そんなことも考え付いたんだけど。このへんはまたいずれ論じる機会があったら。