[ロック]DIP「fun machine」


・このバンドを追っかけ始めた頃、ナンバー・ガールのギターの女の子(名前失念した)が激しくレスペクトしているとかいう話を耳にしていたとはいえ、落ち目っぷりは明らかだった。メジャーの契約は打ち切られていたし、ライブには明らかにやる気のなさが漂っていたし。ドラム脱退→ベース脱退→ドラマーがベーシストとして復活。という史上稀とも言えるメンバーチェンジもあったな。


・と言うわけで、しばらく混迷状態が続いていたんだけど、自信を持って進むべき方向性を定めたバンドだけが持ち得る力強さが、このニュー・アルバムには漲っている。ヤマジのギターが冴えているのはもちろんのことだが、そのトランス感溢れるギター・サウンドにヨシノ・トランスのベースとナカニシのドラムとが絶妙に絡まり合って、全体としてしっかりとしたグルーヴ感を持っているのは特筆すべきであろう。


・もう一つ特筆すべきは、ヤマジのボーカルだ。もともと安定感はなく、ボーカリストとしての弱さは明らかだった。このアルバムでもそうした点は見受けられはするのだが、しかし、その弱さが単なる弱さとして終わることなく、危うい魅力へと昇華されているのは見事としか言いようがない。三曲目「it`s too late」で「let`s it go〜」と繰り返すところなんぞ、背筋にぞくっとするものを覚えるのだ。セクシャルな魅力とでも言えば良いのか。


DIPが、レコード会社の争奪戦となったメジャー・デビュー期に次ぐ、第二の黄金期に突入したのは間違いがないでしょう。というわけで、久しぶりにライブに参戦することに決定。春にはクアトロ・ワンマン(何年ぶりだろう!)もある。


Fun Machine

Fun Machine