、で、とうとう届いた。

何だったのだろうか。この本を手に入れようとしたときに胸のうちに渦巻いたあのためらいは。高い金を支払うことへの躊躇という言葉では説明し切れない後ろめたさを、僕は強く感じたのである。この本を手にするのは自分で良いのだろうか? 自分はこの本を読むに値する人間なのか?・・・。傍からすればいささか大仰な問いが僕のうちに生じたのであった。

・・・その本の名はナボコフの「賜物」。上下二巻・・・。